AI webデザイン時代、制作会社に頼む価値とは?成果を左右する「残り20点」
目次
- AIは80点のデザインを1秒で作る。じゃあ残り20点には何がある?
- AIはWebデザインのどこまでできるようになった?
- では、AIだけでは埋めきれない「残り20点」とは?
- 「残り20点」は、最後にちょっと手直しすることではない
- AI活用が進む時代のWebデザインツール最新動向と特徴
- 業務フェーズ別に見る「AI×Web制作」の実践的な使い方
- AIでWebサイトを作るときに注意したい3つの課題
- AIを使えば、Web制作会社は必要なくなる?
- AIと人が一緒につくる、これからのWeb制作
- 株式会社ジムが考える、AI時代のWebデザイン
- まとめ|AIが80点を作れるからこそ、残り20点の価値が大きくなる
AIは80点のデザインを1秒で作る。じゃあ残り20点には何がある?
Web制作の現場において、生成AIの進化は目覚ましいものがあります。「AI webデザイン」や各種生成ツールの台頭により、プロンプト(指示文)を入力するだけで、美しく整ったレイアウトやパーツ、コードまでもが数秒で出力される時代になりました。
「これほど手軽にクオリティの高いデザインができるなら、WebデザイナーやWeb制作会社に依頼する必要はなくなるのではないか?」
そう考える企業のWeb担当者や広報・マーケティング担当者の方も少なくないでしょう。
この記事では、AIが短時間でつくる「見た目として整った状態」を、便宜上「80点」と表現しています。確かにAIは、見た目を一瞬で整える作業において圧倒的なパフォーマンスを発揮します。
ただし、それは「ビジネスの課題を解決し、成果(問い合わせや売上、採用)を出すための80点」とは意味が異なります。
成果を左右する「残り20点」には一体何が存在するのでしょうか?
長年にわたり紙媒体からWeb、動画、UI/UXデザインまで手掛けてきた株式会社ジムの実務目線から、最新の業界トレンドも踏まえ、AI時代において人が担うべき「残り20点」の本質と価値を詳しく解説します。
AIはWebデザインのどこまでできるようになった?

まず、現在のWeb制作におけるAIの進化と「できること」を客観的に整理してみましょう。AIを排斥するのではなく、技術のメリットを正しく認識して活用することが重要です。
現在、多くのWebデザインツールや生成AIを活用することで、以下のような作業が自動化・高速化されています。
- レイアウト・ワイヤーフレームの自動生成
- 配色パターンやフォント組み合わせの提案
- UIパーツやバナー画像・イラストの作成
- Webサイト用のキャッチコピーや原稿案の作成
- HTML / CSS / JavaScriptなど実装コードの出力
かつて専門スキルを持つWebデザイナーが手作業で行っていたアイデア出しやデザインバリエーションの展開、コーディングの基礎作業は、AIを活用することで劇的に効率化されました。
ここでいう「80点」とは、AIが短時間で作ることのできる、見た目として綺麗に整った状態を指しています。成果を生み出すWebサイトにするためには、さらに重要な判断や設計が必要です。
では、AIだけでは埋めきれない「残り20点」とは?

私たちが考える「残り20点」とは、単なる「余白の微調整」や「デザイナーの感覚」といった話ではありません。「企業とユーザーを結びつけ、成果につなげるための判断と設計」こそが、残り20点の本質です。
デザインを作る前後に存在するこの20点の中身を5つの要素に分解して説明します。
①「何を作るべきか」を決める(課題整理・目的明確化)
AIは「何を作るべきか」を考えるためのリサーチ資料や選択肢の提案、サイト構成案の作成まで幅広く支援してくれます。しかし、自社の事業状況や優先順位までを踏まえ、最終的に「今、何を作るべきか」を判断するのは別の仕事です。
- 自社サイトを全面リニューアルすべきなのか、特定のLP(ランディングページ)を作るべきなのか
- 新規顧客の獲得(問い合わせ)を狙うのか、優秀な人材の採用を狙うのか
- 競合他社に対してどの強みを前面に押し出すべきか
制作に入る手前の「課題の発見」と「戦略・目的の明確化」は、プロジェクトの成否を分ける最も重要なフェーズです。ここを誤ると、どれだけ美しいデザインができあがってもビジネスの成果には結びつきません。
② 企業の「らしさ」を見つける(企業理解・ブランディング)
「信頼感のあるBtoB企業」といった曖昧な指示を入力すれば、AIは平均的でそれらしいデザインを出力します。しかし、それは「どこかで見たような、他社と識別がつかないWebサイト」になりがちです。
企業にはそれぞれ、長年培ってきた歴史、独自の技術、社員の想い、顧客から支持されている本当の理由(独自の強み)が存在します。
丁寧なヒアリングや対話を通してその企業固有の「らしさ」を発掘し、ブランドの文脈に沿ったクリエイティブへ落とし込む作業は、深い企業理解があって初めて可能になります。
③「誰に、何を、どの順番で伝えるか」を設計する(情報設計)
Webデザインとは、単に画面を装飾することではありません。「画面をデザインする前に、情報をデザインする」ことが本質です。
ユーザーがWebサイトに訪れてから問い合わせや申し込みに至るまでには、心理的なプロセスがあります。
- 課題の提示(自分の悩みに気づく)
- 解決策の提示(なぜこのサービスで解決できるのか)
- 実績・事例(信頼できる根拠)
- 具体的なサービス内容・価格
- アクション(問い合わせ・資料請求)
ターゲットユーザーのペルソナに合わせて「どんな順番で情報を提示すれば納得・行動してもらえるか」というストーリー(情報構造)を組み立てる設計力は、成果を出すWeb制作において欠かせない要素です。
④ ユーザーが迷わないUI/UXを考える(操作性・体験設計)
どれだけビジュアルが洗練されていても、ユーザーが欲しい情報に辿り着けないサイトは評価されません。
- ナビゲーションやボタン配置が直感的で迷わないか
- スマートフォンなどのマルチデバイス環境でストレスなく閲覧できるか
- 入力フォームの項目や操作感が最適化されているか(EFO)
「画面の見た目や操作性(UI)」と「利用を通じた体験全体(UX)」を両立させるためには、単に綺麗に並べるだけでなく、実際にユーザーがどう動くかを検証しながら細かな設計を調整していく必要があります。
⑤ SEOやAI検索まで考えて設計する(集客・構造化設計)
Webサイトは完成して公開することがゴールではありません。見込客に見つけ出され、訪問してもらうための集客設計が必要です。
- 検索意図に応えるキーワード設計とコンテンツ構造
- 従来のSEOに加え、AI検索でもサイトの内容を正しく理解・参照されやすくするための情報整理・構造設計
- 検索エンジンが内容を正しく理解しやすいサイト構造や構造化データの設計
- 公開後のアクセス解析に基づく継続的な運用・改善プラン
「見た目の外側」にある集客や技術面・構造面の設計を考慮して全体を組み上げることも、プロの制作現場が提供する重要な価値の一つです。
「残り20点」は、最後にちょっと手直しすることではない
読者の中には「AIで80点のものを作り、最後にデザイナーが20点分をちょこちょこと微調整(修正)すればいいのでは?」と思われる方もいるかもしれません。しかし、現実は異なります。
実は、この「残り20点」の大部分は、デザイン画像を作り始める前の「上流工程」と、出来上がった後の「下流工程・運用」に存在します。
| 制作フェーズ | 主な作業領域 | 担当の主体 |
|---|---|---|
| 1. 上流工程(戦略・設計) | 課題整理 / ヒアリング / ターゲット設定 / 情報設計 / SEO・AI検索を見据えた構造設計 | AI + 人間(判断) |
| 2. 制作工程(制作・実装) | ワイヤー作成 / アイデア出し / ビジュアル生成 / コーディング補助 | AI + 人間(検証) |
| 3. 下流・運用工程(改善) | UI/UX検証 / アクセス解析 / コンテンツ更新 / 改善提案 | AI + 人間(判断) |
AIが特に大きな力を発揮するのは制作工程ですが、今では上流のリサーチやアイデア整理、公開後の分析・改善まで幅広く作業をサポートしてくれます。
ただし、各工程において「どの案を採用し、何を優先して捨てるか」を決める最終的な判断は、ビジネスの全貌を理解している人間が担う必要があります。土台となる「何を・誰に伝えるか」という戦略が曖昧なままでは、どれだけAIで綺麗に作っても「正解がわからない箱」になってしまうからです。
AI活用が進む時代のWebデザインツール最新動向と特徴
主要なWebデザイン・制作ツールにおけるAI機能は急速に進化しています。無料プランが用意されているツールからプロ向けの高度なシステムまで、どのようなツールが現場で使用されているのか整理しておくことで、自社での内製化と外部委託の切り分けがより明確になります。
- UI/UX・プロトタイピングツール(Figma Make、Claude Designなど)
プロの制作現場では、自然言語による指示からワイヤーフレームやプロトタイプを生成し、アイデア検証やデザインのブラッシュアップを効率化するAIツールの活用が進んでいます。
- ノーコードWeb制作プラットフォーム(STUDIO, Wix, Webflowなど)
専門的なコーディング知識がなくてもWebサイトを構築・公開できるサービスで、AIによる初期案の生成やコンテンツ作成など、制作を効率化する機能も拡充されています。企業のWeb担当者による内製化から、プロの制作現場まで幅広く活用されています。
- 画像生成・デザインアシスト(Adobe Firefly, Midjourney, Canvaなど)
高品質なビジュアル素材やイラストの生成、背景拡張など、デザイン素材の作成スピードを高めています。Canvaのような手軽なデザインツールでもAIによる画像生成や自動編集機能が充実しています。ただし、商用利用の条件や権利関係はツールごとに異なるため、利用規約を確認することも重要なポイントです。
- 対話型テキストAI(ChatGPT, Claudeなど)
ChatGPTやClaudeなどの対話型AIは、Webサイトのコンセプト案作成やキャッチコピー、テキスト原稿のブラッシュアップに幅広く活用されています。
AIは、指示されたものを形にするだけでなく、要件整理やサイト構成、初期デザインの提案まで担えるようになっています。一方で、その提案の中から何を採用し、何を優先するかという判断は依然として人間側に求められます。
業務フェーズ別に見る「AI×Web制作」の実践的な使い方

Webサイトの制作プロセスにおいて、AIをどの工程でどう活かすべきか、実際の業務フェーズに沿って整理すると活用のイメージがより明確になります。
1. 調査・コンセプト立案フェーズ
- AIの役割
競合サイトの構成要素の比較整理、ペルソナ設定の初期アイデア出し、ブレインストーミングの相手。 - 人間の役割
自社の実際の顧客データや営業現場の声(生の一次情報)と照らし合わせ、どの切り口を採用するかを決定する。
2. ワイヤーフレーム・原稿作成フェーズ
- AIの役割
キャッチコピーのバリエーション作成、各ページの構成案(ワイヤーフレーム)のたたき台生成。 - 人間の役割
読者の感情の動きに合わせたストーリーの流れ(情報設計)を整え、企業独自のメッセージや実績情報を追加・修正する。
3. ビジュアルデザイン・コーディングフェーズ
- AIの役割
サイト内で使う画像素材やアイコンの生成、レスポンシブ配置の自動調整、コードのエラーチェック。 - 人間の役割
ブランドのトーン&マナーに沿っているか、ボタンの押しやすさや操作性(UI/UX)に問題がないかを検証し、細部を仕上げる。
このように、各フェーズで「AIが出すたたき台」と「人間の判断・検証」を組み合わせることで、制作のスピードと品質を両立させることが可能になります。
AIでWebサイトを作るときに注意したい3つの課題

AIやテンプレートを中心にWebサイトを制作する場合、次のような課題が起こることがあります。
1. 抽象的なプロンプトだと一般的な表現になりやすい
抽象的なプロンプトだけで文章やデザインを生成すると、どうしても「業界の平均値」のような無難で一般的な表現に寄りやすい傾向があります。「高品質なサービスを提供」「親切丁寧な対応」といった言葉だけでは、訪問者の印象に残りにくくなってしまいます。
2. 目的やユーザー像の設計が弱いと導線が乱れやすい
目的やターゲットユーザー像を十分に設定しないまま生成すると、画面ごとの見た目は美しくても、ユーザーの心理変化に合わせた導線設計が弱くなることがあります。結果として、訪問者が途中で離脱し、問い合わせなどのコンバージョンにつながりにくくなる可能性があります。
3. ブランドの「らしさ」が出にくく差別化が難しい
競合他社も同様のAIツールを活用できるため、サイト全体の印象が似通ってしまうリスクがあります。自社ならではの思想や強みが伝わらないデザインのままだと、競合との差別化が難しくなる可能性があります。
AIを使えば、Web制作会社は必要なくなる?

結論から言えば、「ただ作るだけ」の用途であれば、Web制作会社を必要としないケースは、今後さらに増えていくと考えられます。
例えば、以下のようなケースはAIツールやノーコードツールを自社で活用して制作するスタイルと非常に相性が良く、内製化のおすすめパターンと言えます。
- 社内イベントや一時的なキャンペーン用の特設ページ
- スピードとコスト最優先で作るアイデア検証用のプロトタイプ
- 構成案やデザイン案の「たたき台」づくり
一方で、以下のような事業成果に直結するWebサイトにおいては、プロによる設計の価値が高まります。
- コーポレートサイト(企業の信頼性やブランド価値を証明する)
- BtoBサービスサイト / LP(問い合わせや商談を獲得する)
- 採用サイト(自社のビジョンに共感する人材を採用する)
- オウンドメディア(検索やAI集客で中長期的な資産をつくる)
事業の成長やビジネスの課題解決を目指すサイトほど、「何を作るか」という判断と一貫した戦略が必要不可欠になります。
AIと人が一緒につくる、これからのWeb制作

これからのWeb制作では、AIと人それぞれの得意なことを活かしながら、一緒につくっていくことが大切です。「AIが得意なことはAIに任せ、人間は判断や価値創造により集中する」という役割分担です。
AIの得意領域(効率化と展開)
- 膨大なアイデア出しやデザインバリエーションの作成
- キャッチコピーのブレインストーミングや素材作成
- 競合分析やデータ整理の一次作業
- コーディング作業の補助・エラーチェック
人間が担う領域(対話・解釈・最終判断)
- 対話による課題の発見と本質的なニーズの掘り起こし
- 企業のアイデンティティや強みの抽出
- ターゲットの感情を動かすストーリー(情報設計)の構築
- ビジネス成果を見据えた意思決定と最終判断
制作プロセスにAIを賢く組み込むことで、制作期間の短縮や検証の高速化が可能になります。そして浮いた時間とコストを「企業の戦略立案」や「UI/UXの深掘り」に投資していくことが、これからのWeb制作における有効な考え方のひとつです。
株式会社ジムが考える、AI時代のWebデザイン
株式会社ジムは、グラフィックデザインを起点に、Webサイト制作、動画制作、UI/UXデザインまで幅広く手掛けてきました。専門的なデザインスキルと戦略設計を掛け合わせ、お客様のビジネス成長をバックアップしています。
弊社では、この「残り20点」を次のような実務工程で捉え、日々の制作に向き合っています。
1 ビジネスと課題を深く理解する
丁寧なヒアリングや競合調査を通じて、お客様自身も気づいていない強みやWebサイトが解決すべき本質的な課題を整理します。
2 伝え方と導線を設計する
ターゲット層に合わせた情報構造、コンテンツの優先順位、心を動かすコピーライティングを綿密に組み立てます。
3「らしさ」と「使いやすさ」をデザインする
AIなどの最新ツールも柔軟に活用しながら、企業ブランドを体現するクリエイティブと、直感的に迷わないUI/UXデザインへ落とし込みます。
4 公開後も成果に向けて改善する
SEO・AI検索を見据えた情報設計やアクセス解析、追加のコンテンツ制作を通じて、公開後もサイトを育て、継続的にビジネスの成果に貢献します。
BtoB領域を中心に、目的設定から公開後の運用・改善まで一貫して並走する体制を整えています。
まとめ|AIが80点を作れるからこそ、残り20点の価値が大きくなる
生成AIの登場によって「Webサイトをつくること」自体のハードルは劇的に下がりました。しかし、「つくること」のコストが下がれば下がるほど、相対的に「何を、なぜ、どのように作るのか」という判断と設計の価値が高まっています。
企業理解、ユーザー理解、戦略策定、情報設計、UI/UX、SEO・AI検索を見据えた構造設計、そして公開後の継続的な改善。この「残り20点」をしっかり設計することこそが、競合と差別化し、Webサイトを成果の出る事業資産に変える鍵です。
Webサイトのリニューアルや新規制作をご検討中の方へ
- 「AIツールを試してみたが、成果につながるサイトになるか不安がある」
- 「見た目が綺麗なだけでなく、問い合わせや採用に効くWebサイトを作りたい」
- 「自社の本当の強みや『らしさ』を整理してWebデザインに落とし込んでほしい」
「AIをどう取り入れればいいかわからない」「今のWebサイトをどこから見直せばいいかわからない」といった段階からでも、まずはお気軽にご相談ください。
