お問い合わせ

コーポレートサイトの投資判断。リニューアルにAI対応を組み込む順番と、先にやっておく部分改修

著者:久保木肇(株式会社ジム 代表取締役。2000年からWebサイト制作に従事、企業サイトの設計・制作・運用歴26年)

この記事の対象:企業の経営者、役員、事業責任者。コーポレートサイトの改修やリニューアルの予算を承認する立場の方に向けて書いています。改修の具体的な手順を知りたいWeb担当者の方は、担当者向けの「AI時代のコーポレートサイトに求められる5つの条件」からお読みください。


結論を先に3つ。第一に、AI対応は単独のプロジェクトにするより、予定しているリニューアルに組み込むのが最も費用対効果が高い。リニューアルで手を入れる場所(情報設計、CMS、テンプレート、文章)と、AIに正しく参照されるために直す場所が、ほぼ同じだからです。第二に、ただし「デザインを新しくすればAIにも効く」は誤りで、リニューアルの要件にAI対応の項目を明示的に入れなければ、刷新後もAIの参照のされ方は変わりません。第三に、リニューアルの予定が1年以上先なら、先にやっておく部分改修が3つあり、その成果はリニューアル後にそのまま持ち越せます。

この記事では、リニューアルとAI対応の重なり、全面・部分それぞれのリニューアルに組み込む項目、リニューアルを待たずに先にやる部分改修、リニューアルを前倒しすべきサイン、稟議の前に確認するチェックリストを説明します。

リニューアルとAI対応は、触る場所が同じ

AIに正しく参照されるための条件は、担当者向けの記事で5つに整理しました。技術的な土台、会社情報の一貫性、切り出しても意味が通じる文章、根拠になる一次情報、著者と更新日の明示です。

リニューアルには、もともと決まった工程があります。情報設計(ページ構成とナビゲーションを決める)、デザイン、CMS・テンプレートの構築、原稿の制作、公開、の5つです。AI対応で必要になる作業は、どれもこの5つの工程のどこかで一緒にやれるものです。AI対応のために新しい工程を足す必要はなく、既にやる予定の作業の中に「AIの条件を満たすやり方」を指定するだけで済みます。

情報設計の工程では、ナビゲーションとページ構成を今の事業に合わせて組み直します。これはAIが「この会社の主事業は何か」を判断するための土台と同じ作業です。CMSとテンプレートの工程では、見出し構造、構造化データ、canonical、サイトマップをテンプレート側で標準化できます。公開後にページ単位で直すより、ここで一度組み込むほうが漏れがなく、費用も小さい。原稿の工程では、会社概要・事業内容・サービス・実績の文章を書き直します。リニューアルでは原稿を新しくするので、そのときに「切り出しても意味が通じ、根拠の数字がある文章」の型で書けば、追加費用はほとんどかかりません。

つまり、AI対応を別建てで発注すると、リニューアルと同じ場所を二度触ることになります。リニューアルの要件定義にAI対応の項目を入れておけば、一度で済みます。

全面リニューアルに組み込む項目

全面リニューアルの要件定義に、次の項目を入れてください。どれもリニューアルの工程の中で処理できるものです。

工程要件に入れる項目何のためか
情報設計主事業が最上位のナビゲーションで判別できる構成にする。事業内容を1文で言い切った文をトップと会社概要に置くAIが「この会社の主事業は何か」を判断できるようにする
CMS・テンプレート会社概要にOrganizationの構造化データ、各ページにBreadcrumbListを標準で出力する。見出し(h1〜h3)を本文の構造どおりに出す会社情報を機械が読める形で渡し、ページの構造をAIが正しく切り出せるようにする
技術本文がHTMLとして存在する構成にする(JavaScript実行後にしか本文が出ない構成は避ける)。noindex・canonical・XMLサイトマップ・robots.txtの設計を公開前に確認するAIクローラーが本文を読める状態を保証する。ここに問題があると他の対応が全て無効になる
原稿会社概要・事業内容・サービス・実績の4ページを「定義、要点、根拠」の順で書く。根拠になる一次情報(導入実績数、取引社数、継続年数)を社内から集める工程を、原稿制作の前に置く段落単位で切り出されても意味が通じ、他社との違いを数字で示せる文章にする
公開後AI経由の流入を計測できるGA4の設定と、AIに自社を聞いた回答の記録を、公開時点で取るリニューアル前後の変化を測る基準を残す

費用感で言うと、これらを要件に入れることでリニューアル全体の費用が大きく増えることはありません。増えるのは主に、一次情報を集める社内工数と、原稿の型を守るための編集工数です。

部分リニューアルに組み込む項目

採用サイト、サービスサイト、事業ページなど、サイトの一部だけを作り直すケースでも、AI対応は組み込めます。むしろ部分リニューアルは、AIに聞かれる頻度の高いページから直す機会になります。

採用サイトを作り直すなら、求職者がAIに「○○社はどんな会社か、働きやすいか」と聞いたときに引用される情報を入れます。事業内容の1文、従業員数、平均在籍年数、拠点、代表者名を、コーポレートサイトの会社概要と同じ表記で載せる。採用サイトとコーポレートサイトで会社情報の表記がずれていると、AIは別の会社として扱うことがあります。

サービスサイトや事業ページを作り直すなら、そのサービスをAIに聞かれたときの回答を先に確認します。他社の名前しか出ないなら、サービスの定義文と根拠の数字が足りていない。作り直しの原稿でそこを埋めます。あわせて、コーポレートサイト側の事業内容ページからの導線と、表記の一致を取ります。

部分リニューアルで注意するのは、作り直した部分だけAI対応が進み、残りのページと表記や構造がずれることです。部分リニューアルの要件には「コーポレートサイト全体の会社情報の表記を、この機会に棚卸しして揃える」を1項目入れてください。作業はサイト外の確認が中心で、制作費はほとんどかかりません。

リニューアルの予定が先なら、先にやる部分改修

リニューアルが1年以上先、あるいは予定が立っていない場合は、待たずにやる部分改修が3つあります。いずれもリニューアル後に無駄にならず、そのまま持ち越せるものです。

第一に、技術的な土台の点検です。noindexの混入、canonical、XMLサイトマップ、robots.txt、本文がHTMLとして存在しているか。ここに問題があると、他の対応が全て無効になります。作業は数日から数週間(ページ数による)、費用は小さく、リニューアル時にも同じ確認をするので二重投資になりません。

第二に、会社情報の「正」を決めることです。事業内容の1文、社名表記、所在地、設立年、代表者名を確定し、自社サイト・Googleビジネスプロフィール・求人媒体・業界団体の表記を揃える。これは制作会社の作業ではなく社内の意思決定で、リニューアルの要件定義でも最初に必要になります。先に決めておけば、リニューアルの原稿制作が早くなります。

第三に、会社概要・事業内容・サービス・実績の4ページの文章を、型に沿って書き直すことです。書いた文章はリニューアル後の原稿の土台になります。デザインが変わっても文章は持ち越せるので、この投資は消えません。

逆に、リニューアルを待ったほうがいいのは、構造化データの全ページ実装、テンプレートの見出し構造の修正、ナビゲーションの変更です。これらはテンプレート側の作業で、リニューアルで作り直すなら二度手間になります。

リニューアルを前倒しすべき3つのサイン

「まだリニューアルの時期ではない」と考えていても、次の3つのどれかに該当するなら、AI対応の観点では前倒しを検討したほうがいい。部分改修では直らないからです。

1. CMSの保守が切れている、または切れる

古いバージョンのCMSでセキュリティ更新が受けられない、制作した会社が撤退して誰も触れない、といった状態です。この場合はAI対応と無関係に作り直す必要があり、その機会にAI対応の項目を要件に組み込むのが最も効率的です。

2. 本文がJavaScriptの実行後にしか表示されない構成

一部のフロントエンド技術で作られたサイトは、ページの本文がブラウザでJavaScriptを実行して初めて表示されます。AIクローラーの多くはこれを読めないので、会社情報がAIには存在しないのと同じ状態になります。サーバーサイドレンダリングへの変更は部分改修では済まないことが多く、構造から作り直す判断になります。

3. 情報設計が今の事業と乖離している

5年前の事業構成で作られたサイトに、新しい事業のページを継ぎ足してきた結果、ナビゲーションと会社の実態が合っていない。この状態では、AIが「この会社の主事業は何か」を判断できません。ページの追加や文章の修正では直らないので、情報設計から見直します。

「AI対応」の名目で提案される施策を仕分ける

リニューアルの提案書には、AI時代への対応として様々な施策が並びます。AIの参照に効くかどうかで仕分けると、次のようになります。

効くのは、noindex・canonical・sitemap・robots.txtの点検と修正、会社概要のOrganization構造化データ、会社情報の表記ゆれの棚卸し、会社概要・事業内容・サービスページの文章の書き直し、一次情報の整理と掲載、コラム・事例記事の継続制作です。いずれもリニューアルの工程に組み込めます。

効かないのは、デザインの刷新そのもの、トップページの動画やアニメーション、「AI対応パッケージ」や「LLMO診断ツール」の導入だけで終わる提案です。デザインは人の印象には効きますが、AIの参照のされ方は変えられません。診断は現状を知るには有効ですが、診断結果を原稿と構造に反映する工程がなければ何も変わりません。

提案書のどこに予算が配分されているかを、この仕分けで見てください。デザインとアニメーションに予算の大半が置かれ、原稿と一次情報の整備に工程がない提案は、AI対応を名目にした通常のリニューアル提案です。

稟議の前に確認するチェックリスト

提案を承認する前に、提案者に次の5つを聞いてください。

 提案者への質問確認したいこと答えられない場合
1現状のサイトで、noindex・canonical・サイトマップ・robots.txtに問題があるか、確認した結果はどうだったか現状の技術的な土台を調べた上での提案か現状を見ずに作った提案。土台の問題が残ると他の対応が無効になる
2主要なAIに自社を聞いたとき、今どう回答されているか。リニューアル後にその回答をどう変えるのかAI対応のゴールが具体的に定義されているか「AI対応」が名目だけで、何を変えるのか決まっていない
3リニューアルの要件のうち、AI対応に該当する項目はどれか。情報設計・テンプレート・原稿のそれぞれに入っているかAI対応が工程に組み込まれているかデザイン中心の通常リニューアル。刷新後もAIの参照は変わらない
4効果をどの指標で、いつ測るのか(AI経由のセッション、指名検索の表示回数、AIの回答内容の変化)投資の結果を検証する仕組みがあるか効果が出たかどうかを後から判断できない
5原稿制作の前に、一次情報を社内から集める工程があるか。誰が担当するか根拠の数字を用意する段取りがあるか原稿が形容詞だけになり、AIが他社との違いを説明できない

3番と5番に答えられない提案は、リニューアルをしてもAIの参照のされ方が変わらない可能性が高い。

まとめ

AI対応は、リニューアルと触る場所が同じです。全面でも部分でも、予定しているリニューアルの要件にAI対応の項目を入れれば、一度の投資で済みます。デザインを新しくするだけでは変わらないので、情報設計・テンプレート・原稿の3つに項目を明示すること。リニューアルが先なら、技術的な土台の点検、会社情報の正の確定、4ページの文章の書き直しを先に進め、その成果をリニューアルに持ち越してください。CMS保守切れ、JavaScript依存の構成、情報設計の乖離のどれかに該当するなら、リニューアルを前倒しする判断です。

30分で、御社がAIにどう説明されているかをお見せします

株式会社ジムは、1981年の創業から45年、2000年からWebサイトの制作に携わり、2013年からコーポレートサイト全体の設計・制作・運用を続けてきました。東証プライム上場企業を含む190社の企業サイトに携わり、継続取引歴10年以上の企業も9社あります。制作だけでなく、GA4・Search Consoleによる解析、広告運用、コンテンツ制作まで同じチームで担当しています。

リニューアルをご検討中の企業には、主要なAIが御社をどう説明しているか、競合と比べてどう出るか、サイトの技術的な土台に問題がないかを、30分の打ち合わせで数字と画面でお見せします。その結果をもとに、リニューアルの要件に入れるべきAI対応の項目を整理します。全面でも、採用サイトやサービスサイトだけの部分リニューアルでも、同じ進め方です。下記フォームからお問い合わせください。

web制作のお問い合わせCTA

改訂履歴

  • v1.0(2026年9月22日)初版

資料ダウンロード

DOWNLOAD

資料イメージ

サービスに関する資料はこちらから
ダウンロードいただけます。

資料ダウンロードはこちら

お問い合わせ

CONTACT

お問い合わせイメージ

お仕事のご依頼、
ご相談はお問い合わせフォームより
お気軽にご相談ください。

お問い合わせはこちら
資料プレビュー
資料ダウンロードはこちら