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AIに正しく「会社」を理解させる。エンティティ設計の実務

著者:久保木肇(株式会社ジム 代表取締役。2000年からWebサイト制作に従事、企業サイトの設計・制作・運用歴26年)


AIがあなたの会社を推薦できるかどうかは、AIの中に「あなたの会社の輪郭」が一つの塊として存在しているかで決まります。社名、所在地、事業内容、代表者、実績が、自社サイトとWeb上の他の場所で同じ内容として揃っていれば塊になり、ズレていれば「似た会社が複数ある」と扱われて推薦されません。この記事は、コーポレートサイトの会社概要を担当する広報・総務・マーケティングの担当者に向けて、表記ゆれの棚卸し方法、Organizationの構造化データの実装例、Googleビジネスプロフィールとの整合、サイト外の言及を増やす現実的な方法を、当社サイトの実例(不備も含めて)とあわせて解説します。

用語の定義

エンティティとは、AIや検索エンジンが「これは一つの実在するもの」と認識している単位です。会社なら、社名・所在地・事業内容・代表者・設立年・URLが結びついた塊がエンティティになります。

構造化データとは、ページの内容を機械が読める形式で書き添えたものです。この記事ではschema.orgの語彙をJSON-LD形式で書く方法を扱います。ページに見える情報は変わらず、HTMLの中に機械向けの説明を足すイメージです。

sameAsとは、構造化データの中で「この会社の公式な別の場所」を指すリンクです。公式SNS、Googleビジネスプロフィール、Wikipediaなどを結びつけ、「これらは全部同じ会社です」とAIに伝えます。

揃っていないと何が起きるか

AIは自社サイトだけを読んで会社を理解するのではなく、Web全体の記述を突き合わせて「この会社はこういう会社だ」という像を作ります。ここで表記がズレていると、像がぼやけます。

当社サイトを例にします。トップページのタイトルは「東京神楽坂のデザイン会社」、meta descriptionは「Web制作をはじめ、Web運用、ブランディング、動画・映像制作やグラフィックデザイン」、会社概要ページの事業内容は「Webデザイン、映像制作、グラフィックデザイン、展示会装飾デザイン」、サービスページにはWeb広告運用とライティングが並んでいます。どれも間違いではありませんが、3か所で会社の説明が違う。「広告運用もやる会社か」と聞かれたとき、会社概要には書いていないので、AIは確信を持って答えられません。所在地も、神楽坂(最寄り駅の通称)と山吹町(住所)が混在しています。これは当社が2026年9月の時点で抱えていた実際の不備で、この記事の執筆を機に、事業内容の1文を確定して全ページの表現を揃え、会社概要に構造化データを実装しました。

確認の方法は簡単です。ChatGPT、Gemini、Perplexityのそれぞれに「○○株式会社はどんな会社ですか」と聞いて、回答を保存しておく。事業内容の書き方が自社の認識と違う、古い住所が出る、別の同名会社と混ざる、といったズレがそのまま課題になります。当社の場合は[要データ:3サービスの回答を取得後に、ズレの実例を1〜2文で記入]。修正の3か月後に同じ質問をして、変化を見ます。

表記ゆれの棚卸し

自社サイトの会社概要ページを「正」と決め、Web上の主要な掲載場所と横に並べて、7項目を照合します。

項目自社サイト会社概要(正)Googleビジネスプロフィール求人媒体業界団体・登録サイト登記情報
社名(表記・株式会社の前後)株式会社ジム株式会社ジム株式会社ジム
株式会社ジム株式会社ジム
所在地(ビル名・階まで)東京都新宿区山吹町81 遠山ビル2階東京都新宿区山吹町81 遠山ビル 2階東京都新宿区山吹町81番地東京都新宿区東京都新宿区山吹町81番地
設立年/創業年1981年ーー昭和56年昭和56年10月8日
代表者名久保木 肇ー久保木 肇ー久保木 肇
事業内容(1文)Webデザイン映像制作グラフィックデザイン展示会装飾デザインーホームページ・動画・グラフィックなどのデザイン制作チラシ、ポスター、カードパンフレット、図録、フリーペーパー商標、ロゴマークWEB、ホームページ映像、動画、CG店舗、売り場、展示会ブースネーミング、コピーライティング各種商品の商品計画時におけるデザイン及び各種宜伝広告、販売促進活動に関する企画立案、並びに制作、出版、印刷、写真展示関係の企画立案
電話番号03-3230-372203-3230-372203-3230-372203-3230-3722ー
公式URL(wwwの有無、httpsまで)ーhttps://www.gym-ts.com/https://www.gym-ts.com/https://www.gym-ts.com/ー

よくあるズレは、移転前の住所が求人媒体に残っている、設立年と創業年が媒体によって違う、旧代表者名が業界団体の名簿に残っている、事業内容の文言が媒体ごとに書き換えられている、の4つです。直せるものは直し、直せないもの(他社が管理している掲載)は、自社サイト側を正として構造化データで明示します。

事業内容の1文は、この棚卸しで決めた文を、会社概要・トップページのmeta description・Googleビジネスプロフィール・SNSのプロフィールに同じ文言で使います。当社なら「企業のWebサイト(コーポレートサイト・採用サイト・LP)の設計・制作・運用を軸に、Web広告運用・解析、動画、グラフィック、展示会ブースまでを同一チームで手がける、東京・神楽坂のデザイン会社。1981年創業。」のように、会社概要の事業内容欄より一段具体的な文にします。

この記事の執筆の機会に当社サイトを修正します。

Organizationの構造化データ

会社概要ページに、Organization型のJSON-LDを入れます。以下は当社の会社概要ページ(/company/)に実際に入れている構造化データです。トップページにも同じ@id(#organization)で同じOrganizationを参照させ、どのページから入っても一つの会社に辿り着くようにしています。

<script type=”application/ld+json”>

{

  “@context”: “https://schema.org”,

  “@graph”: [

    {

      “@type”: “Organization”,

      “@id”: “https://www.gym-ts.com/#organization”,

      “name”: “株式会社ジム”,

      “alternateName”: [

        “GYM”,

        “ジム”

      ],

      “url”: “https://www.gym-ts.com/”,

      “logo”: {

        “@type”: “ImageObject”,

        “url”: “https://www.gym-ts.com/wp-content/themes/gym-2026/img/common/logo.svg”

      },

      “image”: “https://www.gym-ts.com/wp-content/themes/gym-2026/img/common/ogp.jpg”,

      “description”: “株式会社ジムは、東京神楽坂のデザイン会社です。Web制作をはじめ、Web運用、ブランディング、動画・映像制作やグラフィックデザインなど、企業の事業活動を支えるクリエイティブをご提供しています。”,

      “identifier”: {

        “@type”: “PropertyValue”,

        “propertyID”: “法人番号”,

        “value”: “9010001019831”

      },

      “foundingDate”: “1981”,

      “numberOfEmployees”: {

        “@type”: “QuantitativeValue”,

        “value”: 14

      },

      “member”: {

        “@type”: “Person”,

        “@id”: “https://www.gym-ts.com/message/#person”,

        “name”: “久保木肇”,

        “jobTitle”: “代表取締役”

      },

      “telephone”: “+81-3-3230-3722”,

      “address”: {

        “@type”: “PostalAddress”,

        “postalCode”: “162-0801”,

        “addressCountry”: “JP”,

        “addressRegion”: “東京都”,

        “addressLocality”: “新宿区”,

        “streetAddress”: “山吹町81 遠山ビル2階”

      },

      “areaServed”: “JP”,

      “knowsAbout”: [

        “空間デザイン”,

        “撮影・空撮”,

        “ライティング”,

        “動画・映像制作”,

        “ブランディング提案”,

        “動画パッケージサービス”,

        “グラフィックデザイン”,

        “イラスト制作”,

        “Webサイト制作”,

        “Web広告運用”

      ],

      “sameAs”: [

        “https://www.youtube.com/@GYM_creative”,

        “https://x.com/GYMkagurazaka”,

        “https://www.instagram.com/gym_kagurazaka_edogawabashi”,

        “https://www.facebook.com/profile.php?id=61593478667876”

      ],

      “contactPoint”: {

        “@type”: “ContactPoint”,

        “telephone”: “+81-3-3230-3722”,

        “contactType”: “sales”,

        “url”: “https://www.gym-ts.com/contact/”,

        “areaServed”: “JP”,

        “availableLanguage”: [

          “ja”

        ]

      }

    },

    {

      “@type”: “WebSite”,

      “@id”: “https://www.gym-ts.com/#website”,

      “url”: “https://www.gym-ts.com/”,

      “name”: “株式会社ジム”,

      “alternateName”: “GYM”,

      “inLanguage”: “ja”,

      “publisher”: {

        “@id”: “https://www.gym-ts.com/#organization”

      }

    },

    {

      “@type”: “AboutPage”,

      “@id”: “https://www.gym-ts.com/company/#webpage”,

      “url”: “https://www.gym-ts.com/company/”,

      “name”: “会社情報”,

      “inLanguage”: “ja”,

      “isPartOf”: {

        “@id”: “https://www.gym-ts.com/#website”

      },

      “breadcrumb”: {

        “@id”: “https://www.gym-ts.com/company/#breadcrumb”

      },

      “primaryImageOfPage”: {

        “@type”: “ImageObject”,

        “url”: “https://www.gym-ts.com/wp-content/themes/gym-2026/img/common/ogp.jpg”

      },

      “description”: “ジムの会社情報を掲載しています。MVV、代表メッセージ、会社概要を通じて、企業としての指針と体制をご紹介します。”,

      “datePublished”: “2015-09-12T16:59:57+09:00”,

      “dateModified”: “2026-08-06T13:20:44+09:00”,

      “about”: {

        “@id”: “https://www.gym-ts.com/#organization”

      },

      “mainEntity”: {

        “@id”: “https://www.gym-ts.com/#organization”

      }

    },

    {

      “@type”: “BreadcrumbList”,

      “@id”: “https://www.gym-ts.com/company/#breadcrumb”,

      “itemListElement”: [

        {

          “@type”: “ListItem”,

          “position”: 1,

          “name”: “ホーム”,

          “item”: “https://www.gym-ts.com/”

        },

        {

          “@type”: “ListItem”,

          “position”: 2,

          “name”: “会社情報”

        }

      ]

    }

  ]

}

</script>

会社概要の本文に法人番号の行を追加したのも、この構造化データと本文の記載を一致させるためです。同名の株式会社ジムが他にも複数ある当社の場合、法人番号は同名の会社を切り分ける唯一の公的な鍵になります。

書くときの原則は3つです。ページに書いてある内容と一致させる。本文にない情報を構造化データだけで主張しない(Googleのガイドライン違反であり、AIにも不整合として映ります)。descriptionは棚卸しで決めた事業内容の1文をそのまま使う。sameAsには自社が管理している公式の場所だけを入れ、掲載されているだけの媒体は入れない。

実装後は、Googleの「リッチリザルトテスト」か「スキーママークアップ検証ツール」にURLを入れて、エラーがないことを確認します。Organizationはリッチリザルトの対象ではないので「リッチリザルトなし」と出ても問題ありません。構文エラーがなければ完了です。

Googleビジネスプロフィールとの整合

Googleビジネスプロフィールは、Googleが会社のエンティティを作るときの最も強い情報源の一つです。会社概要と同じ社名表記、同じ住所、同じ電話番号、同じURL、同じ事業内容の1文にします。カテゴリは、自社の主事業に一番近いものを主カテゴリにし、副カテゴリで補います。当社なら主カテゴリ「ウェブサイト制作会社」、副カテゴリに「デザイン会社」「広告代理店」「マーケティングコンサルタント」を置く、といった形です。

オーナー確認が済んでいない、または誰が管理しているかわからないプロフィールは、この機会に確認します。制作会社や以前の担当者のアカウントに紐づいたまま放置されているケースが多くあります。

サイト外の言及を増やす現実的な方法

AIが「この会社は実在し、この分野で信頼できる」と判断する材料は、自社サイトの外にあります。第三者が社名と事業内容をセットで書いている場所が多いほど、エンティティは強くなります。ただし、コーポレートサイトの担当者が現実的に動かせる範囲は限られるので、効果と手間で絞ります。

取引先の導入事例に社名で掲載してもらう。クライアントのサイトに「制作:株式会社○○」とクレジットが入るだけでも、事業内容と社名が結びついた第三者の記述になります。当社の場合、190社の取引先のうちクレジット掲載を許可してもらえている会社がどれだけあるかを、この機会に数えます。

業界団体や自治体の登録名簿に、棚卸しで決めた事業内容の1文で登録する。プレスリリースは、配信サービス経由で複数のメディアに同じ会社説明文が転載されるので、表記を揃える効果が高い。採用媒体の会社紹介文も同じ文言に揃える。

やらなくていいのは、被リンク目的のディレクトリ登録と、内容の薄いプレスリリースの連発です。量より、社名と事業内容の組み合わせが一貫していることが重要です。

まとめ

エンティティ設計は、新しいことをするのではなく、すでにWeb上に散らばっている自社の情報を一つに揃える作業です。会社概要を正として7項目を棚卸しし、事業内容の1文を決めて全媒体で同じ文言を使い、Organizationの構造化データで明示し、Googleビジネスプロフィールを一致させ、第三者の記述にも同じ文言が載るようにする。当社サイトも、タイトル・meta description・会社概要・サービスページで事業内容の説明が揃っていない状態でしたので、この手順で直しました。修正後3か月で、AIに社名を聞いたときの回答がどう変わるかを、この記事の改訂で報告します。

コーポレートサイトの見直しを、株式会社ジムに相談しませんか

表記ゆれの棚卸しは、自社のことを知りすぎている人ほど「合っているつもり」で見落とします。当社自身が、この記事を書くために確認して初めて、3か所で事業内容の説明が違うことに気づきました。

株式会社ジムは、1981年の創業から45年、2000年からWebサイトの制作に携わり、2013年からコーポレートサイト全体の設計・制作・運用を続けてきました。東証プライム上場企業を含む190社の企業サイトに携わり、継続取引歴10年以上の企業も9社あります。制作だけでなく、GA4・Search Consoleによる解析、広告運用、コンテンツ制作まで同じチームで担当しているため、「作って終わり」ではなく「作った後に選ばれ続ける」ところまで伴走できます。

「会社概要の構造化データを実装してほしい」「AIに自社を聞いたときの回答を一緒に確認してほしい」といった部分的なご相談も歓迎です。下記フォームからお問い合わせください。

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改訂履歴

  • v1.0(2026年9月21日)初版。当社サイトの記述は2026年9月21日時点の公開ページに基づく

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