コラム

2021.12.29

ブランディングを始めるにあたり、使いやすいフレームワークを知りたい〜アイデンティティ構築編

ブランディングには、①現状分析②アイデンテティ構築③ブランドを浸透させる、と3つの段階があり、段階に応じてフレームワークを使い分けるのがおすすめです。①現状分析で使いやすいフレームワークには「3C分析」があり、以前、こちらの記事で紹介しましたので、もしよろしかったら参考にしてみてください。今回は②アイデンテティ構築の段階に有効な「ブランド・アイデンティティ・プリズム」を紹介します。

ブランドアイデンティティとは何か?

ブランディングとは、「自社に対して顧客が抱いているイメージ(ブランドイメージ)」と、「自社が自社について顧客にどう思われたいか(ブランドアイデンテティ)」を一致させていく活動です。まず、冒頭の文章でお伝えした①現状分析を行うと、自社を取り巻く環境からブランドイメージがつかめてくるはずです。それをもとに行うのが、②ブランドアイデンティティの構築です。アイデンティティとは、翻訳すると「人物像」。事業への想いやビジョン、つまり自社の理念や目的を明確にして、「私たちはこういう会社です」とはっきり打ち出していきます。その過程でやっておくといいフレームワークのひとつが「ブランド・アイデンティティ・プリズム」です。

ブランド・アイデンティティ・プリズム6つの側面

ブランド・アイデンティティ・プリズムは、ブランド・アイデンティティの定義に必要な要素を六面体(プリズム)の図形で整理していくフレームワークです。世界的に有名なブランディングの専門家、Jean-Noel Kapferer氏が考案しました。構成要素は以下です。

このフレームワーク でできることを順に解説していきますね。

ブランド・アイデンティティ・プリズムにおける2つの軸

横軸の見方

プリズム形を水平方向に真ん中で区切ると、上半分は自社が決める要素(ブランドパーソナリティや、視覚的な特徴など)で、下半分は顧客に関する要素(ターゲット層、顧客が自社に抱いているイメージ)で構成されています。

縦軸の見方

一方、プリズム形を垂直方向に真ん中で分ける縦軸は、一方が外的・会社の外部的な要素(ブランドの視覚的特徴、顧客との関係性、ターゲット層)、もう一方が内的・会社の内部要素(企業文化、ブランド価値観の基盤など)を理解するうえで必要な要素となっています。

ブランド・アイデンティティ・プリズムを構成する6つの要素

6つの側面は、以下のような意味と目的を持っています。いずれもブランディングに欠かせない検討要素ですので、ひとつずつ、丁寧に考えていきましょう。

1)Physique(フィジーク):物理的にわかるブランドの側面

Physiqueとは、人でいうと「体格」を意味する言葉です。ブランドの物理的な側面を指します。たとえば企業のロゴ、デザインや書体、使用する配色、商品や梱包のデザイン、オンライン空間やコミュニケーションの場などです。ブランドとして打ち出したいことを、何を通じて表現していくかはとても重要です。顧客のニーズを満たし、他社と差別化できる価値提供とは何か。同じ業界内で他社との棲み分けができているか。一貫したメッセージをこれらによって届けます。

2)Personality(パーソナリティ):ブランドの個性

人でいうと「個性」「キャラクター」に当たります。人間関係においても個性は大事ですよね。たとえばハッピーなイメージ、爽やかな印象といったことです。自社が外部とあらゆるコミュニケーションを取るときに、どのような雰囲気なのか?を明確にしていきます。文章のテイストや声のトーン、色のイメージ、広告に人物を起用するなら誰がいいか?にも影響する部分です。他社と差別化をするうえでも、自社が顧客の目にどう映っているか?考えていきます。

3)Culture(カルチャー):ブランドの行動の規範とする価値体系や基本原則

会社で受け継がれてきた考え方やしくみ、伝統、業績、人材や社風とは、どのようなものでしょうか?Cultureとは、ブランドを打ち出すうえで「自分たちらしさ」につながる要素です。社員一人ひとりの行動によってつくられる要素でもあり、これから変わってゆく部分もあるでしょう。自社が大切にしたい文化とは何か?を考えてみましょう。

4)Relationship(リレーションシップ):ブランドがシンボライズする人と人との関係

直訳すると「関係性」です。自社の商品やサービスを通じてどんな人たちがつながり、どのような関係性を築ける存在でありたいか。それを考えていきます。たとえば、お母さんと子どものような安心感で結ばれた関係性、同級生が集まったような親しみやすさ、志を共に進んでいく関係性、のようなイメージです。

5)Reflection(リフレクション):顧客を代表する人

直訳すると「反映」「投影」といった意味があり、ブランドの顧客のなかで、もっともを多くを占める人たちのことです。バイヤーペルソナといわれたりもします。考えてみてください。顧客層に幅があるとして、もっとも多いのはどのような人たちでしょうか。たとえば20代〜30代の女性で、友情、穏やかさ、ファッションに価値を置くタイプの人、といった風に。性別や年齢、年収といった情報だけでなく、価値観や感情、ライフスタイルまでイメージして、顧客の人物像を明確に設定します。すると、顧客にどのようにアプローチすべきか浮かび上がってくるでしょう。

6)Self image(セルフイメージ):顧客がイメージする理想の自分

ターゲット層の人たちが、自分自身に対して持っているイメージを指します。彼らはブランドを身につけることでどんな自分を表現したいのか。自分がどうなることを期待してブランドを選んでいるのか。強く意識しているというよりも、憧れとして心の底に持っているイメージといえるでしょう。顧客のセルフイメージを把握することで、ブランディングの方向性も決まってきます。

フレームワークを終えたら/ブランド・アイデンテティ・プリズムを生かすために

以上、ブランド・アイデンティティ・プリズムの中身を紹介しました。6つの側面から自社について考えることで、「私たちはこういう会社です」というブランドアイデンティティが浮かび上がってくるはずです。ただし、ブランディングは時として、うまくいかないことがあります。それは、たとえば、机上の空論になってしまった場合です。現実からかけ離れているブランドアイデンティティは、現場がついていけなかったりして、形だけのものになってしまいます。また、ブランドアイデンティティが綺麗事になってしまい、利益を出すことが難しい状態では会社が立ち行かなくなりますし、決めたことを持続できなくなります。ですから、ブランドアイデンティティプリズムのフレームワークで検討を終えたら、次のポイントから全体を見直してみましょう。

全体を見渡したときに、一貫性や整合性はありますか?6つの側面が互いによい影響を与え合っていることが大切です。どれかひとつに注目すると、どれかが難しくなる、とならないようにしましょう。さらに、顧客のニーズや願望を含んだものになっているか?も重要です。ブランディングとは、顧客が持つイメージと、自社の「こう在りたい」を一致させていく活動です。独自性があることも重要ですし、社会に価値をもたらすものになっているか?という広い視点も大切です。検討した内容を客観的に見直してみましょう。

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フレームワークを活用すれば、ブランディングに必要な要素を効率よく検討することができます。ただし、社内メンバーのみで行うと考え方が偏ってしまいがちで、新たな強みを見つけることが難しかったりもします。私たちジムでは、クライアントのブランディング活動のために、Webサイトデザインや動画制作をはじめ、各種クリエイティブを手がけています。お客様からきめ細やかにヒアリングをさせていただき、客観的な視点から新たな魅力を引き出すブランディングをお手伝いします。質問やご相談がありましたらお気軽にお問い合わせください。

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